「悔しい」G原辰徳監督4連覇の夢破れるクライマックスシリーズの本拠地開催権をかけた2位を目指す

 (セ・リーグ阪神3−1巨人、最終戦、12勝12敗、29日、甲子園ミラクルは起こせなかった。巨人は29日、阪神終戦(甲子園)に1−3で敗れ、4年ぶりのV逸が決定。セ・リーグ4連覇を逃した原辰徳監督(52)は「悔しいですね」と肩を落とした。

今後はクライマックスシリーズの本拠地開催権をかけた2位争いが残っており、残り4試合総力戦で臨む。勝った阪神は優勝へのマジックナンバーが一つ減って「7」となった。

気持ちを整理しているかのようだった。原監督は試合後、三塁ベンチからゆっくりと歩を進めた。セ・リーグ4連覇が消滅会見スペースで立ち止まると、あらゆる感情を押し殺すように、静かに口を開いた。

 「悔しいですね。ジャイアンツは4連覇が目標にあって、誇りと緊張の中で全力で戦いましたが、こういう結果になったのは悔しいです」

 さまざまな思いがこみ上げる中、もっとも強かったのが「悔しさ」だった。試合前、若手の坂本や長野(ちょうの)らにハッパをかけて臨んだ伝統の一戦。終わってみれば、今季を象徴するような試合だった。

 昨季15勝2敗で優勝の原動力となった先発ゴンザレスは制球が甘く、三回途中3失点で降板。四回から東野、七回から朝井と先発要員もつぎ込み必死の継投で失点を防いだが、12球団断トツの220本塁打を記録する打線が能見、久保田、藤川をとらえきれなかった。

 原監督は最近、「今季は同じ投手に同じような形でやられるケースが多い」とこぼしたが、まさに能見はその一人。四回無死一、三塁、五回一死一、二塁と好機を作りながら“あと1本”が出ず昨年7月から7連敗となってレギュラーシーズンでの対戦を終えた。

 「この悔しさを持ち続け、全力で戦う。まだまだどっぷり勝負の世界につかって戦っていく」

 まだ日本シリーズ連覇の夢は残る。クライマックスシリーズを本拠地・東京ドームで戦うためには2位を確保しなければならない。「悔しさ」をエネルギーに変えて、残り4試合、そしてその先を全力で戦い抜く。

セ・リーグ阪神3−1巨人、最終戦、12勝12敗、29日、甲子園)リーグ4連覇を逃した巨人ナインは口々に、次の目標へ向けた気持ちの切り替えを強調した。

 主将の阿部は「明日から切り替えて、一つでも上を目指す」。選手会長内海も「何とか2位を取れるように」と、クライマックスシリーズのファーストステージを本拠地開催できる2位の確保を掲げた。

 もちろん、最終的な目標は2年連続日本一だ。小笠原は「まだ、上に挑める可能性は残っているわけだから」と前を向いた。

4連覇が消えた巨人・清武代表の話

「次の目標に向かってやるだけ。まだ、クライマックスシリーズがあるわけだから」

巨人・伊原ヘッドコーチ(4連覇を逃し)

「悔しいが、現実。まだ終わったわけじゃない。振り返るのは早い」

東野(救援で3回無失点)

「まだ試合が残っている。落とせない試合が続くことに、変わりはない」

阪神3─1巨人(29日・甲子園) 坂本が打ち上げたフライ右翼手のグラブに収まった。その瞬間、2006年以来4年ぶりのリーグV逸が決まった。原監督は「悔しいです。ジャイアンツは4連覇という目標を持って、誇りと緊張の中、全力で戦ったがこういう結果になった。非常に悔しいです」と唇をかみ締めた。

 今季の苦しい戦いを象徴するようだった。3回に1点を先取したが、先発のゴンザレスが踏ん張れない。その裏、坂に右翼フェンス最上部を直撃する「ビデオ判定」の適時三塁打を許すなど3失点。途中で高木にスイッチせざるを得なかった。



 昨季はグライシンガーオビスポを含めた助っ人右腕3人で34勝を稼いだ。今季はわずか7勝だ。ゴンザレスについて、阿部主将は「打たれ出すとストライクを集め出す。気を付けてはいるんだけど…。投手は踏ん張っていた。本当に打ってやれなかった」と悔しさをにじませた。

 打線も力も出し切れなかった。2点を追う4回の攻撃では、天敵の能見から無死一、三塁の大チャンスをつかんだ。阪神内野陣は併殺狙い。内野ゴロでも1点差にできるところで脇谷、代打・大道が連続三振し無得点。能見に2年越しの7連敗を喫した。指揮官は「逆転された後の攻撃陣を含め、はねのける力が出せなかった」と嘆いた。



 リーグ3連覇中は勝負どころの9月に無類の強さを発揮した。今年は11勝10敗1分けと貯金を1つ増やすのがやっと。三つどもえの戦いから抜け出せなかった。しかし、立ち止まってはいられない。「まだまだペナントレースは続く。勝負の世界にどっぷりと漬かって戦っていきたい」と原監督。残り4試合。クライマックスシリーズ、その先にある日本シリーズに備えて、まだ2位を目指す戦いに全力を注ぐ。