第81回アカデミー賞、滝田洋二郎監督(53)の「おくりびと」が外国語映画賞加藤久仁生(くにお)監督(31)の「つみきのいえ」が短編アニメーション賞に選ばれた。

米映画界最大の祭典、第81回アカデミー賞映画芸術科学アカデミー主催)の発表・授賞式が22日(日本時間23日)に行われ、滝田洋二郎監督(53)の「おくりびと」が外国語映画賞に選ばれた。56年度(29回)に同賞が独立した賞になって以来、日本作品が受賞したのは初めて。また、加藤久仁生(くにお)監督(31)の「つみきのいえ」が短編アニメーション賞に選ばれた。日本人監督作品の同賞受賞は初めて。

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 日本作品のアカデミー賞受賞は02年度(75回)に「千と千尋の神隠し」(宮崎駿監督)が長編アニメーション賞を受賞して以来、6年ぶりとなる。

 「おくりびと」は、チェロ奏者から納棺師に転職した主人公が死者を装う仕事の中で家族のきずなを再確認していく物語。毎日映画コンクール日本映画大賞やモントリオール世界映画祭グランプリを受賞するなど、国内外で高い評価を受けてきた。

 外国語映画賞のプレゼンターが「Departures」と「おくりびと」の英語タイトルを告げたのを受け、壇に上がった滝田監督は「これが私にとって新しい旅立ちになる」と語った。

 外国語映画賞が名誉賞の一部だった時代、日本映画は「羅生門」(51年度、黒澤明監督)、「地獄門」(54年度、衣笠貞之助監督)、「宮本武蔵」(55年度、稲垣浩監督)の3作品が同賞を獲得。だが、その後は03年度まで11回ノミネートされながら、いずれも受賞を逃していた。

 「つみきのいえ」は水没していく家に住む1人暮らしの老人を描いた約12分のアニメーション。フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭グランプリなどを受賞していた。

 加藤監督はオスカー像を手に「とても重い。ありがとう、アニメ」と言って喜びを表した。毎日JP


◆映画界最大の祭典、第81回アカデミー賞の発表・授賞式が22日午後5時30分(日本時間23日午前10時30分)から、ロサンゼルス・ハリウッドのコダックシアターで始まり、外国語映画部門で滝田洋二郎監督(53)の「おくりびと」、短編アニメーション部門で加藤久仁生(くにお)監督(31)の「つみきのいえ」がそれぞれ受賞する快挙となった。

 日本映画が外国語映画賞を受賞したのは、特別名誉賞と呼ばれていた1955年の「宮本武蔵」(稲垣浩監督)以来54年ぶりで、独立した部門となってからは初めて。また長編アニメ部門は2003年に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」が獲得しているが、短編部門では初の栄冠に輝いた。

 「おくりびと」の授賞の舞台には、滝田監督と主演の本木雅弘さんらが登壇。滝田監督は満面の笑みを浮かべ、「私がここまでこられたのも映画のおかげです。また新たな旅立ちが始まります。再び戻ってくることを期待しています」と英語であいさつ。「つみきのいえ」の加藤監督はオスカー像を受け取ると、英語で「重いですね。サンキュー・ベリーマッチ」と喜びを語った。

 「おくりびと」は、遺体を棺に納める納棺師が、人間の生死をみつめる姿を、ユーモアをまじえて描いた作品。納棺師を演じる本木さんが10年以上前から映画化を目指していた企画で、自ら、本物の納棺師のもとで納棺の技術の指導を受け、遺体の顔をふいたり、着衣を着替えさせたりする動きを演じた。

 この作品は日本で昨年9月に公開され、報知映画賞日本アカデミー賞など国内の映画賞を総なめにし、第32回モントリオール世界映画祭ではグランプリを受賞している。

 加藤監督は多摩美大在学中から、アニメーションの自主制作を手がけ、同大卒業後、映像制作会社「ロボット」に入社。アニメーション作家を集めた工房に所属し、2003年の「或る旅人の日記」などで、多数のアニメーション映画賞を受賞した。

 「つみきのいえ」は、海面が上昇するため、積み木のように建て増しし続ける家に住む老人が主人公の作品。12分の短編だが、手描きの繊細なタッチを生かし、制作には約7か月を費やした。

◆日本映画史に新たな金字塔が打ち立てられた――。第81回米アカデミー賞では、外国語映画部門で、“静かなる鎮魂”を描いた滝田洋二郎監督の「おくりびと」、短編アニメーション部門で加藤久仁生(くにお)監督の「つみきのいえ」が、それぞれ初の栄冠に輝いた。

 「これからどんな3時間になるのか楽しみです」と余裕の表情で会場入りしていた滝田監督や、主演の本木雅弘さんは、壇上で満面の笑みをたたえ、喜びを表していた。

 外国語映画部門では、昨年のカンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したフランス映画「クラス」、戦争の不毛さを描いたイスラエル映画戦場でワルツを」など、社会的なテーマを扱った他国のライバル映画の下馬評が高かった。しかし、人間の生と死という普遍的な題材を映画化した「おくりびと」が最終的に賞を制した。

 一方、短編アニメーション部門を制した加藤監督は、受賞後の記者会見で、「アカデミー賞は歴史と名誉があるので、賞を頂けたのはとてもうれしい。英語はまったくしゃべれないので、(スピーチでは)シンプルな言葉で感謝を伝えようと思った。何となく言えたかなと思っている。日本で待っているスタッフに感謝している。早く喜びを分かち合いたい。短編アニメでも自分が表現できていない部分があるので、これからも短編を続けたい」と落ちついた口調で語っていた。


( 読売新聞)



◆主演女優賞はケイト・ウィンスレット(「愛を読むひと」)
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第81回米アカデミー賞が2月22日(日本時間23日)、ロサンゼルスのコダック・シアターで開かれ、滝田洋二郎監督「おくりびと」が外国語映画賞加藤久仁生監督「つみきのいえ」が短編アニメーション賞をそれぞれ受賞した。作品賞はインド・ムンバイが舞台のダニー・ボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」が選ばれた。

 他の受賞者、受賞作は次の通り=発表順

助演女優賞ペネロペ・クルス(「それでも恋するバルセロナ」)
脚本賞ダスティン・ランス・ブラック(「ミルク」)
▽脚色賞=サイモン・ビューフォイ(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽長編アニメーション賞=「ウォーリー」
美術賞=ドナルド・グレイアム・バートら「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
▽衣装デザイン賞=マイケル・オコナー(「ある公爵夫人の生涯」)
▽メーキャップ賞=グレッグ・キャノム(「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」)
▽撮影賞=アンソニー・ドッド・マントル(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽実写短編賞=「トイランド」
助演男優賞ヒース・レジャー(「ダークナイト」)
長編ドキュメンタリー賞=「マン・オン・ワイヤー」
▽短編ドキュメンタリー賞=「スマイル・ピンキ」▽視覚効果賞=「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」▽音響編集賞=「ダークナイト
▽録音賞=「スラムドッグ$ミリオネア
編集賞=同▽作曲賞=A・R・ラフマーン(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽歌曲賞=”Jai Ho”(A・R・ラフマーン作曲、「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽監督賞=ダニー・ボイル(「スラムドッグ$ミリオネア」)
▽主演女優賞=ケイト・ウィンスレット(「愛を読むひと」)
▽主演男優賞=ショーン・ペン(「ミルク」)。
Asahi.comより